205号室。星哉の病室の前。
行こう。涙を拭って、ドアを開けた。

「星哉!」

明るく。

「優菜…ッごほごほ、ごほっ」

星哉は、抗がん剤にすでに苦しめられていた。

「サッカー部ね、試合で牧田くんがさ、ファインプレー出したんだけどそれを見た部員たちがポカーンとしてさぁ!」

他愛ない話。

「牧田が?!それはみんなびっくりするな…ウッ‥オエッおええっ」

星哉はビニール袋が被さった容器を素早く取り、中に吐き出した。

「ご…めんなっ…ごほっごほっ…」