あたしはその時、パジャマを着ていたが、やはり取り込んでなかったキュロットを、母がラグと一緒に取り込んでおいてくれたようで、下だけ着替えた。姉はどのようにして家から呼んだのか忘れてしまったが、事情のわかるご近所さんに助けを求め、四人で駅へ向かった。そして電車に乗り込んだ。確かその時は週末で、学校は休みだった。

電車で1時間程揺られ、祖父母の家に着くと、あたしたちはやっと一息ついた。ようやくのびのび過ごす事ができた。





翌朝、父が車であたしたちを迎えに来た。祖父に土下座をしている。

父｢申し訳ありませんでした！｣

もちろん祖父も黙ってはいない。

祖父｢お前は何を考えてる！酒は浴びる程飲むもんじゃねぇだろ！子供だっているんだぞ！｣

父｢申し訳ありませんでした！酒はもう飲みません！｣

この後も父は、祖父から懇々と説教され、ずっと土下座したまま謝り続け、酒はもう飲まないと言い続けた。

祖父｢お前はどうしたいんだ？｣

祖父が母に尋ねた。

母｢もうこういう事はしないって約束してくれるなら…｣

父が平謝りする姿を見た母は、情にほだされていた。

祖父｢そうか。じゃあうまくやるんだぞ。｣

こうしてあたしたちは、父の運転する車に乗り、元の家に帰った。すると母が、滅茶苦茶に荒れた家の中を片付け始めた。一方、父は居間に座り、酒を飲み始めた。

ちか｢お父さん、お酒はもう飲まないんじゃないの？｣

父｢まだちょっとしか飲んでないよ。｣

この状況の意味が、あたしにはまだわかっていなかった。こうしてまた、あたしたちの｢日常｣が始まる。