前回の一件から一、二年経ち、相変わらず父は、母に暴力を振るっていた。

梅雨に入るか入らない、微妙なある日の事だった。母は、ラグを天日干ししていた。それをうっかり取り込まず、夜を迎えていた。

その日の夜、父が暴れた。あたしと姉は、母に二階に居るようにと言われた。あたしと姉は、特に話す事もなく、黙ってそれぞれ夜を過ごしていたが、母の事は気になっていた。姉も同じ気持ちだったように思う。

夜が明け、朝目覚めて、一階に降りて行くと父は爆睡していた。弟と母の姿が無かった。父が暴れ、滅茶苦茶に荒れた家の中は、父の暴れ具合と母への暴力の凄まじさを感じさせた。

あたしは縁側に出て、靴を履いた。

ちか(昨日、お父さん、すっごい暴れてた…。怖かった…。)

そんな事を考えながらボーッとしていると…

隣の空き家の窓が開き、手招きをされた。それが母だという事はすぐにわかった。すぐに母の所へ駆け寄った。