霧雨も降り止まぬ丑三つ時、フラフラ歩く、父の足音が聞こえる。

父「ご主人様のお帰りだー!」

泥酔した父は、玄関のドアを勢い良く開け、そのまま台所の包丁を手にした。

母(殺される…)

危険を感じた母はそっと明かりを消し、家中を真っ暗にすると、ハンドバッグを持ち、産まれたばかりの姉を抱き抱えた。

父「どこだ?」

母は、包丁を振り回している父に気づかれないように、そっと玄関へ向かった。母を探しまわる父を尻目に、母は玄関から飛び出し、車へ乗り込んだ。急いでエンジンをかけ、家を後にしたのだった。