「若松さん」

「ん?こっちきて平気?」

「出番は暗転してからだからまだ大丈夫」

「そっか。」

「いま思ったんだけどさ、初恋って、終わった経験がないから永遠に続くなんて勘違いしちゃうんだよね。だから、心中じみた自殺もできちゃう」

「…そうだね。」

「ミツに先に婚約者として出会ってるんだから、朔良くんに恋したりできるのかな?」

「どういうこと?」

若松は台本を書く手を止めて、二衣の方を見た。

「ミツってイケメンだし、スペック高いからあとから朔良くんにあっても朔良くんを好きになったりしないと思わない?絶対、ミツに初恋使っちゃうでしょ。しかも婚約者なら失恋もしないよ。そしたらロミジュリなりたたないけど」

「橘さんはスペックで人を好きになるの?」

「…そんなことはないよ。」

「……橘さんは朱本くんと相澤どっちが好きなの?あ、これは貸しを一つ使うから答えてほしい。一番気になるもの」

「私は…」