朝がくるのが鬱陶しいと、いつも思う。光成は目覚めた時にはすでにいない二衣をうらむ。
喪失感を際立たせる広いベッド。

リビングからはトーストの匂いがする。光成は仕方なく起きることにした。


「さて、皆様。文化祭であります。」

光成のクラスの実行委員が教卓で高々と唱える。クラスのなかも心なしかそわそわするような印象をうけた。

「何をするか、まだ決まってないのはなかなかの問題だよ。一次企画書提出の時にみんなで決めた通り、うちのクラスがやるのは、喫茶店。コンセプトとかを決めていこう」
ハキハキと呼び掛けて、同時に板書もしていく。誰だったか、確か若松楓とうろ覚えな実行委員の名前を思い出しながら、光成は窓の外をみる。

その間にも、黒板には文字が増えていく。執事喫茶、新撰組喫茶、明治浪漫カフェ、浴衣カフェ。

どれも面倒だなと光成の胸中は冷めていた。