「…相澤朔良だね」

「なんだ、知ってたの?」

二衣は体を起こした。光成も腕を立てて枕に寄りかかるようにして起き上がる

「二衣さんのことで俺が知らないことなんてないよ」

「たいした自信だね、ミツ」

「それだけ二衣さんを見てるからね。」

「うん」

「俺には二衣さんだけだよ。二衣さんだけを愛してる。この世で一番愛しいたった一人の俺の花嫁だよ」

「…うん」

「それでもまだ、足りない?」

「………足りないよ、ミツ。君の恋心とやらはまだまだ私を水底まで沈めることなんでできちゃいない」

それは冷たい傲慢。愛されたい二衣は、光成の痛みなど理解せず、ただ求めるままに毒を吐く。

「そう…」

さっきまで優しく髪にふれていた手が、強く髪を引っ張った。二衣はつんのめって、光成に倒れ込み、そのままきつく抱きしめられる。

「じゃあ、今夜もじっくり思い知らせてあげる。」