「・・・・だって、光成くん」

備品室の扉に寄りかかって真波が言う。もちろん中には光成がいて。
からからと扉を開いて真波は笑顔で、そこに入って行く。様々な教材の段ボールの狭間に、偉そうな態度で光成が座っていた。
真波はドアに鍵をかける。

「反省してくれないの?」

「反省ね・・・。したよ?僕に悪い点はなかったと再認識した。」

「は?」

「あれ、しらない?反省ってさ、自分が悪いことをしたと認めるって意味以外に自分の行いに悪い点がないか考えることって意味があるんだよ。考察反省ってあるだろ?」

「・・・・どーでもいいんだけど」

「二衣ちゃんなら言わなくてもわかってくれるんだけどね」

「うるさいっ!!!」

真波はヒステリックに、教科書のつまったカバンをぶつける。光成はそれを腕で防いで、それでも衝撃にぐらりと体を揺らした。じんと伝わる腕の痛みに瞳を閉ざした。
真波が深いため息をついて、光成の襟をつかむ。

「ねぇ、光成。ちゃんと私の言うこと聞かないとお仕置きだからね」

そして光成のブレザーの内ポケットから、光成のスマートフォンをとりだしロックを解除。勝手に開いたラインの二衣との会話を見る。

「橘二衣に既読をつけないこと。」

「・・・」

「光成。はいって言って。」

「・・・・」

真波は光成を冷たく見下ろして、そして今度は自分のスマートフォンをひらく。

「ばらしてもいいの?」

「・・・・っち」

「ね、はいって言って」

「はい、女王さま」

光成は弱みを握られてなお真波を嘲笑う。