「朱本くんじゃん。こんなところでなにしてるのさ」

「それ、こっちのセリフなんだけど。」

 大きな日本邸宅の前、真波と光成が対峙する。

「真波の家がここらにあるなんて知らなかったよ」

「そりゃないからね」

「じゃあどうしてここに」

「やだな、分かるでしょ、朱本くん。仕返しのための弱み探しだよ。」

「・・・ここは、関係ないだろう。」

強ばった表情で、光成がいう。それであからさまにもわかってしまう。ここが大切であること。否、ここにあるものが大切であること。

「ここが二衣さんの実家なんだね。」

「二衣さんは関係ない!!」

「あれ、兄弟なのにさんなんかつけちゃうの?」

「・・・っ!」

「あはは、朱本くんってこんなに単純だったんだね。いつもは余裕綽々って感じだから気づかなかったよ?」

真波はスマートフォンを取り出して、光成の目の前で掲げて見せた。
そこに写るのは沢山の写真。

「兄弟って嘘でしょ。朱本くんの大本命は橘二衣。正解?」

「・・・」

「沈黙は肯定なり、だよ」

 二衣の様々なシーンで隠し撮りされたであろう写真。
 それを真波がスクロールする。

「さて仮定が正しいと証明されたところで、朱本くんのことを脅しちゃおうと思います(笑)」