『止めなさい!ルナスィ!』

父親が怒鳴るが、父親に裏切られた私は特に父親の声に怯えもしなかった。

『お……ち着いて、ルナ!僕が愛しているのは君だけだ!』

優しい彼はこんな時にまで嘘を吐く。長年一緒にいれば嘘を吐く時の声色くらい分かる。彼は私を愛してる。けれどそれの100倍怯えてる。怖がってる。私から逃げたがってる。

『あははっ、リリー……貴方のせいなのよ?』

父親が何かを叫ぶ。ニッグは嘘丸出しの声で私をなだめようとする。リリーはただただ震えている。