こんな軽口の中でも、輝は時々、悲しそうな顔をすることがある。


私の足を見ながら。


案の定、今日も会話が途切れると、辛そうな顔をする。


「ごめんな。女子なのに。」


「足なんか。満くんの命に比べたら、私の足なんかたいしたことないよ。いつだって、一番大切なのは命なんだから。」


満くんというのは輝の弟。幸い、かすり傷程度で済んだらしい。

「私こそ、ごめんね?こんなに立派な病室、使わせてもらって。」


私が入院している病室は、小畑家が負担してくれている。


「そんな事!大事な弟を助けてもらったんだ。
これくらいはさせてくれ。」


「ん。ありがとう。」

その後輝が、学校であったことや、家族の事など、面白おかしくはなしてくれる。

退屈な入院生活のなかでも、指折りの楽しさだ。