月だけが見ていた


「今日はお車ですか?」


エレベーターに乗り込みながら、主任に問いかけた。


「いや、駅まで歩く。」


終電間近なだけに
ここでもまた二人きり。

ゴウン、と音をたてて
エレベーターはゆっくりと下降を始める。




「ーーー 葉子」