私と司くんの間を 風だけが通り過ぎていく。 「……上原」 司くんは ただただ真っ直ぐに、私を見ていた。 「それがどういう事か、わかってる?」 『私も一緒に連れていって』 さっき自分で発した言葉が、頭の中に甦る。 「…うん」 微かに震える両手をぎゅっと握りしめて、私は頷いた。 怖くないといったら、嘘になるかもしれない。 でも、もう一度司くんの隣にいられるのなら 迷いなんてーーー 「……出来ない、よ」