「残業、何時まで?」 ず、と音がして 彼がまたコーヒーを啜ったのがわかった。 腕時計を見ると、午後10時をまわったところだ。 「えーと…11時までには」 「ん。」 室内に再び静寂が戻る。 「……」 手を動かしながら、ちらりと後ろに視線をやると 主任はいかにも退屈そうに、ぼんやり自分のパソコンを眺めていた。 特に忙しそうな訳でも 何をしている風でもない。