校庭に行くと、すでにサッカー部のファン達が集まっていて……もう人、人、人!って感じで、もちろん女子しかいない。



グラウンドの奥には野球部や陸上部、ソフトボール部も活動しているけれど、こんなに集まっているのはサッカー部だけ。



「うわっ……本当に兄貴がいる。最悪だ」



ボソッとまわりに聞こえないようにつぶやく希美。



必死に視界に入れないように、違う方向を見ている。



そんな中、あたしはもう一人で自分の世界に入っていて、ピッチで走り回る一際かっこよく見える彼を目で追い続ける。



「かっこいい……」



あたしの視線の先にいる人は2年の山下優先輩。



高校サッカーマガジンで単独インタビューの特集が組まれるほどの優秀な選手なんだ。