数分後……コツコツと足音がする

この時間の病院には相応しくない音


白衣を着てメガネを掛けた男


「先生、こんな時間にどうされました?」


看護師が男に話しかけてきた
俺は見つからないように隠れる


「あぁ、黒木さんの容態が気になって」


この声……あのすれ違った時の男の声だ


「先生は熱心ですね、何かあれば行ってくださいね」

そう言って看護師は去っていった


男は黒木さんの病室の入っていく
俺も気づかれないように静かに病室のドアを開ける

男は寝ているであろう黒木さんに
ナイフを振りかざした


ドスっ……


「えっ……?」

男は布団を剥ぎ取る

「……どういう事だ」


男は動揺していた


『……そういう事だ』

それの声に気がつき男は振り返った


男の顔を見た……やっぱりか…
俺は男の顔に見覚えがある


『久しぶりだな、晃』



「はっ、なんで隼斗さんがここに?」


『お前こそ、ここで何してる?』


「いや、黒木さんが目を覚ましたって聞いて……見舞いに……」


『こんな時間にか?そんな物騒なもの持って見舞いか?』


俺の質問に答えられない晃


『晃……俺の名前を使ってたな?』
『詐欺まがいなことして、金巻き上げただろ?』
『俺は晃に恨まれるようなこと、したか?』


「ふっ……くっくっくっ……なーんだ、隼斗さん、全部知ってるんだ」


晃は笑い出した