このまま、今までのことを忘れて
沙希と暮らせていけたら
いいんじゃねぇか……そんな事を思うときもある。



『親父、いいか?』


親父は俺の顔をチラッとみたが
また書類に目を向ける


親父の向かいに座り
話そうとした


「隼斗……黒木に何を頼んだ?」


『……それを今から話す』


「水河の事も関係あんのか?」


親父は知ってるのか……
知ってるなら話が早い


俺は知っている事
黒木さんのこと、資料のこと
沙希の事
そして、俺がもう一人いることも…


親父は黙って俺の話を聞いていた


そして

「水河の話は……本当だ。確かに愛人を外に作り、身ごもったって聞いた。けど……水河は引き取りたかったらしいが、愛人の方が拒んだんだ。金も払うと言ったんだが、それすらも受け取らなかったらしい」


「けど、聡が一人になった話を聞き…施設に入れられそうになった時に迎えに行ったんだ……けど、聡に選択させたんだ……施設に入るか、組に入るかって」


『施設?』


「ああ、再婚相手が聡を引き取るのを嫌がった…預けていた実家も面倒見切れなくなったらしい」

「引き取られたあと、聡は母親に会ってるはずだ、最後に1度だけ会いたいって言ってな……」


『そうか……』


「黒木を狙った奴がもう一人のお前か?」

『あぁ…金髪の男ってしか、わからねぇ』


「その沙希って子……狙われるぞ」


『あぁ、わかってる……今、俺のマンションに住んでいる……仕事も辞めさせた』


俺の言葉に親父は目を丸くしている