心臓が、嫌な音を立てた。


途端に、黒くモヤモヤとしたものが、心を覆い尽くしていく。



息苦しい……。



「ぁ、う……。」



こんな三木くん、知らない。



こんなにも冷たい目をして

こんなにも暗い雰囲気を纏って


こんなにも、誰かを気にする三木くんなんて……。



「……ねぇ、せんせ。」



三木くんがわたしから視線を外して、口を開いた。


ようやく少し、呼吸が楽になる。



「せんせいは、教師と生徒の恋愛って……どう思う?」


「ぇ……?」



教師と、生徒の恋愛……?



「やっぱり、許されないことだと思う?」



再びわたしに向けて来た視線は、

さっきみたいな冷たいものじゃなかった。


むしろ真逆で、縋って来るような、頼りない視線……。