「こんな遅くに何してるの? せんせい。」
へ……?
この、声ってまさか……!
「三木、くん……?」
「ん? なーに? せんせー。」
三木くんはカチッと後ろ手で鍵を閉めて、
わたしを抱きしめていた腕を離してく。
なんで三木くんが、視聴覚室なんかに……。
……って。
「あ! そ、それ……!」
ふと目に入ったのは、窓際に置かれた1つの鍵。
一度しか見たことがないけど、あれは絶対ここの予備鍵だ……!
「三木くんが持ってたの……!?」
窓際に近付いて、鍵を手に持つ。
鍵についたネームプレートには思った通り、〝視聴覚室 予備〟と書かれていた。
「あれ? もしかして、今日の戸締まり、小河せんせいが当番だったの?」
「え? う、うん、そうだけど……?」
教室の戸締りや鍵の管理は、基本何も無い限り日番で交代することになっている。


