そんな難しいこと。

バカなわたしには分からないけど……。



今はまだ、何も考えず。


この甘さに浸りたいと思った。



「先生とのキスって、甘くて好き。」


「っ……言わないで……。」



三木くんはクスッと、甘美に微笑む。


その微笑みが、わたしにとっては毒のよう。



本人には絶対に言えないけど、わたしも……


この甘いキスが、好き。


溺れそうに甘い、このキスが。



「帰ろうか、せんせい。家まで送るよ。」



ソッと、わたしの手を引いた。



握られた右手が異常に熱い。


高鳴る心臓の鼓動が、異常に速い。



あぁ、今わたし……

三木くんに、恋してる……。



自覚した。



わたしに、本当の恋を教えてくれたのも。


それを気づかせてくれたのも。



全部、三木くん。



それは


隣で微笑む彼を、心から、

愛おしいと感じた瞬間だった。