「こ、小河先生、ありがとうございました……。」



呆気にとられた教頭先生がそう言った途端

わたしは転がり落ちるように、舞台の上から退場した。



ただでさえ目立つことが苦手なわたしが、これ以上舞台の上で注目をあびるなんて……


堪えられない!!





――小河藍(こがわ あい)。


今年大学を卒業した、探せばそこら辺にいくらでもいそうな23歳



今日からわたしは

ここ、三菱(みつびし)高等学校の保健医となる。


…………予定なんだけど。



今は、朝の集会中


今日が初出勤のわたしと、そのほか数名の先生方の自己紹介があるため

教頭先生がわざわざ臨時集会を開いてくれた。



……それだと言うのに。


自分の侵した、物凄い失態に……もう恥ずかしさで死にたくなる……。