「海人はアタシのなの。……なのにアンタが、海人を誑かすから……。」



たっ、誑かす!?



「わ、わたし! 三木くんを誑かしてなんか……っ!」


「うるさい!!」



ビクッ...



「ねぇ、お願い、藍ちゃん。アタシから海人を奪わないで。もう、アタシには海人しかいないの。」



叫んだときとは真逆の目で、東先生はわたしを見つめてくる。


それは文字通り、懇願。



……それでも。



「ごめんなさい……。」



もう逃げることは止めたから。



「っ、どうして?」


「…………。」


「どうして海人なの?」



〝どうして〟



「誰でもいいじゃない! 他の人にしてよ!」



〝どうしてお母さん〟



「ほらっ、世界史の岡辺先生とか! 藍ちゃん、いい雰囲気じゃない!」



〝死んじゃったの?〟