side 小河藍
戻って来た奈緒さんに、「この人は誰ですか」と、震える声で聞いた。
すると奈緒さんは答えた。
「季緒姉さん……。海人の実の母親よ。」
こんな偶然って、あっていいのだろうか。
修学旅行の当日、電話で話していた2人を思い出す……。
「三木くんはこの人のこと……知ってるんですか。」
「……知らない、と思うわ。だって海人、誰よりも……。」
〝彼女を憎んでるから〟
〝顔も声も名前も、知るのを拒むぐらいに〟
……ギュッと、下唇を噛みしめた。
ダメ……あっちゃいけない。
こんな偶然、絶対あっちゃいけない。
三木くんの家を飛び出して、どれだけ走ったことか。
シューズじゃなくてヒールだから、走る度に足首に激痛が走る。
「三木くんっ……三木くん!!」
あっちゃ、いけないんだよ……。
憎んでる人と、好きな人が
同一人物……だ、なんてことは……。


