「先生は……。」



あれ……?


奈緒さんの雰囲気が、どことなく変わった気が……。



「海人が好きなの?」


「ふぇぁっ!? っわ、ぁあ……!」



動揺して、思わず階段を踏み外してしまい、落ちそうになった。


咄嗟に手摺りを掴んだので、何とかセーフ……。



「ふふ……図星だったかしら?」


「っ……。」



わたしを見て微笑む奈緒さんの目は、さっきまでのマイペースで緩やかな目じゃない。



〝母親〟の、目だ。



「…………答えて、くれないの?」



言って、いいわけがない。


わたしの想いは誰にも、知られてはいけない。



だってわたしは教師で、三木くん生徒だもの。



……だけど


「……好き……です。きっと……誰よりも……。」



直感的に、〝言わなきゃ〟と感じた。