片方の石からもう1つの石まで、目をつぶって歩くと恋が叶う。
恋占いの石を、わたしに支えてもらいながら何度も挑戦して。
大学の合格祈願じゃなくて、なぜか健康運のお守りを真剣に悩んでたり。
嬉々とした表情を浮かべながら、手水を楽しんでたり。
まるで三木くんが、小さな子供のようだった。
そういえば昨日の歌舞伎も、周りはみんな興味なさそうに寝始めた子が多かったのに。
三木くんだけは最初から最後まで、歌舞伎に見入ってたことを思い出す。
本当に、本当にそういうのが好きなんだなぁ……。
「あっ、せんせ見て! 着物だって、着物! あそこで着物借りれるみたい。」
「へぇ。そんなものもあるんだ。」
三木くんはもう既に行く気みたいで、
自力で車椅子の車輪を回して、先に行こうとする。
わたしも後を追って、暖簾をくぐって店内へと入った。


