涙が止まらなかった。



足を怪我して、痛いのは三木くん。


身を呈して助けたわたしに説教されて、苛立つのも三木くん。


知らない夜の土地で、頼りないわたしと2人きりで、不安で苦しいのも三木くん……。



だけど、涙は止められなかった。



「よか、った……っ、三木くんが無事で……よかった……!」



目の前の、わたしを庇って傷だらけな体に抱き着く。


もちろん、怪我をしてる足には負担を掛けないように。



温かいその感覚が、三木くんが生きてることを証明していた。



「……先生、オレ血だらけだから、汚いよ?」



汚くなんかない。


三木くんは誰よりも綺麗で、優しい人だよ……。