「で、一つお聞きしますが、それは何ですか?」
「ん?あぁこれか」
美智影は、その人形を指差し言った。
「これは、機械人形だよ、よく人形だってわかったな!お前のために作ったんだ!」
美智影は、笑いながら言った。
確かに彼女は人間にそっくりだが人とは違う美しさをもっていた。だからこそ明人は彼女が人形だとわかったのだ。
「渡したい物とはそれですか・・・美智影、貴方はタイムマシンについて研究していたのではなかったのですか?」
明人は、呆れた顔で美智影にそう尋ねると美智影は目をそらしながら言った。
「あ、あぁ!研究してるさ!」
誰がどう見ても怪しいとわかる態度と急に出てきた額の汗からして・・・この男、機械人形に気をとられタイムマシンの研究をしてなかったな・・・。まぁ美智影は、そういった趣味はなかったはずだ・・・本当に彼は私のために作ってくれたのだろう。仕方ない騙されたことにしておくか。
「ありがとう、美智影」
「お、おうよっ!」
そのとき、ほっとしたのか異常なまでの額の汗がもう消えていた。
「 まぁ話は戻すが、 この人形は 人と同じように 言葉を話し、人と同じように成長する不思議な人形なんだよ 今頃お前が寂しい思いをしてると思ってな作ったんだ」
美智影は自慢げにそう言った。
まぁ確かに不思議なものだなと明人は思った。
「そいつの手を握ってみてくれ」
美智影に言われたとおり人形の手を握った。
「こうか?」
やはりどんなにそっくりに作ってあっても人形は人形触れたとて暖かいはずがない。
だか、この冷たさがなんとなく心地いいと明人は思った。
すると、だんだんと冷たく冷えていた手が人並みに温かくなっていくのだ。
そしてみるみるうちに、光のなかった瞳から光が出てきた。
「ア、ナタ、が・・・ア、ルジ、デスカ?」
まだハッキリとしゃべれないようだがなんとなく可愛いと思った。
美智影が言うには、これは、人間の感情と細胞を使ってある人形らしい。姿的には明人と同じ歳くらいに作ってあった。今は、言葉や行動などはおぼつかないが日々色々成長していくそうだ。人と同じで日々勉強していくらしい。もちろん人の細胞を使っているから身長が伸びたりもするらしい。本当に変わった人形なのだということはわかった。
「そうだよ・・・」
人形は、明人の手を優しく握り返し微笑んだ。その笑顔は、本当に人形かと疑うほどリアルなものだった。だがその笑顔は、なんの嫌みもなくとても美しいものだったで。