この広い世界軸の中にとある少年と少女が居たそうだ・・・。
彼らは、出逢い恋に落ちたそうだ・・・。
だが神はそれを許さなかった。
時には馬車で、また時には川で・・・。
様々な形で神は二人を別つのだ。
そして、運命は輪は繰り返される・・・。


彼女に初めて会ったのは、そう・・・こんな暑い夏の日だった・・・。
広い屋敷には縁側がありそこから見える池を眺めていた。ジリジリと照らす太陽に呆れていた私は、かすかに夏みかんの香りをのせた爽やかな風が吹くのを待っていた
・・・。
そのうちその風が吹くと蝉たちの声をそれは、かき消してくれた。
チリ~ン、チリ~ン
その寂しげながらも優しいそれは、暑さで滅入っている私を連れ戻してくれた。
それは昔、彼女からもらった風鈴だった・・・。