授業中、よくありがちな事として手紙回しがある
僕の学校でも例外なくそれはあった。もちろん、先生にはバレないようにだけど
もちろん回しているのは主に女子。男子はそれの手伝い役を大概担っている
ただ、手伝いをしていると自然と内容も入ってくるわけで、結果的にクラス全体で話し合っているようなことが多々ある

現に今、回ってきた手紙には今度の休日に阪田さんの歓迎会をやらないかという内容が書かれていた
この程度の内容だったら休み時間でもいいのではという疑問も初めは浮かんだが、今はもうみんな気にしなくなった

僕が座っている席はクラスの中でも端の方だったから、ここに手紙が来たってことはほとんどのクラスメイトが読んでいるんだろう。ならば、みんな考えてることはほぼ同じようなものだ

使われていた紙が大きかったからか、文章の下のところには各々の意見が書かれていた。ざっと見ると思った通り、ぼ全員が賛成のようだ
僕も反対する理由がなかったので、賛成とだけ紙に書き近くの人にこの紙を戻してくれと頼んだ

僕の一連の行動を怪訝に思ったのか、阪田さんが小声で声をかけてきた

「どうしたの?」
「いや、別になんでもないよ。前の学期のことで、ちょっとね」
「ふーん、そうなんや」

とりあえずは信じてくれたようで、深く追及してはこなかった

「(歓迎会は恐らく女子が企画しただろうから、とりあえずはなんとかなるか)」

女子たちならば間違いは起こらないだろうし。そう思いながら再び黒板にむきなおった


授業が終わると、またもや女子たちによる阪田さんへの質問タイムが始まった
今度は質問タイムというより、雑談をする時間になったらしい。クラスの女子の半分くらいが阪田さんの周りを囲っている
そろそろ阪田さんも慣れてきたのか、前の休み時間で見せていたような不安そうな表情は無くなっていた

僕はというと、やはりあの二人と一緒にいた。女子の中にいるのはさすがに少々気が引けてくる
何せクラスの女子の半分くらいの人数だ。そんなところに男子一人………怖い以外のなにものでもないだろう

「いやー、それにしても中々の人気だね。流石は転校生ってか」
「あんまり茶化した言い方してるから、お前すぐ振られるんじゃないのか」
「確かに。至極真っ当だな」
「お前らそんなに俺を貶したいか!そんなに俺をいじりたいのか!!」
「人聞きの悪いことを。思ったことを言ったまでだ」

健斗と悠哉のアホとしか言いようがない掛け合いをよそに、また阪田さんの席周辺を眺めていた
まあそのアホのような掛け合いに僕も入っていたんだが。
遠い目をしていると、やっと落ち着いたのか二人が声をかけてきた