「まじ夏むりだわー。」




彼は冬夜。



名前通り冬生まれで夏がキライ。



暑いのがニガテ。冬が好き。


そして彼の好き嫌いとは反して



季節は夏。



夏休み真っ只中。





「とーや。人んちでゴロゴロしないでよ。あたしの特等席よ、そこ。」




そういいながらもモナカのアイスを半分こにして渡す。




そして冬夜の寝っころがってるソファーを背もたれにして床に座った。



「知ってる。」



それだけ言って私が渡したアイスを食べだした。と言っても二口でたべてしまったんだけど。


「真夏。」


名前を呼ばれて振り返ると食べかけのアイスを食べられてしまった。



「あんたねえ。」



「ちまちま食ってるからいらないんかと思った。」


「あほ!」


こんなやりとりはいつものこと。



私は名前の通り夏生まれで冬がニガテ。




寒がりで、夏が好き。



海、夏祭り、花火、向日葵、夏がだいすき!





冬夜とは幼なじみで家がとなり。



私は冬夜が好きだったりする。




そして何もしないこの2人の時間が好き。




でも冬夜は夏キライ。真夏は冬ニガテ。



望みもないでしょ?




「真夏。部活は?」



テレビをつけながら冬夜が聞いてきた。



「午後から。冬夜は?」



冬夜はバスケ部に入ってる。



あたしはテニス部。




「おれも。じゃあ一緒に行くか。」



「 別にいいけどおー。」





本当はすっごく嬉しいのに隠しちゃう。



素直になれたらいいのにね。





「帰りさ、お前が食べたいって言ってた駅前のケーキおごってやるよ。」




嬉しいのと同時に



「なんで!」



って。




だって冬夜がおごるなんておかしいんだもん。



「真夏、今日誕生日じゃん。」





絶対覚えてないと思ってた。



「覚えてたの?」



びっくりして聞いたら





「どんだけ一緒にいると思ってんだよ。」




ってあたりまえのように答えた。



さらっとそんなこと言われて



あたしがこんなにドキドキしてるなんて知らないんだろうな。







「あ...ありがと。」



いつもはあまのじゃくなあたしだけど




少しだけ素直になってみた。




そしたら





「ん。」




ってあたまポンポンされた。




胸がくるしすぎておかしくなりそう。




「じゃあ、夜は花火やろ!」




この関係壊れるとか幼馴染みじゃなくて彼女になりたいとかどうでもいいや。



「誕生日だから付き合ってやるよ。」



いまがよければいいよね?




「じゃあ、明日はプール!」




だって心地いいから。



「誕生日じゃないから行かね。暑いのやだ。」




「おいっ!」






ちょっとずつちょっとずつ夏色に染まってほしいな。




なんてね。









~夏色にそまれ! END ~