赤沢波菜。
……赤沢。
黒板に書かれた名前に聞き覚えがあった。
「うおおおおおい!!!お前!!当たりだぞ!!!」
「はあ!?」
怜太はなぜか興奮している。
「学級委員になった時点で外れだろ」
「お前の相方!赤沢さんじゃん!羨ましすぎる!!」
やはり怜太も赤沢さんを知っているらしい。
名前は聞いたことあるんだけど、顔がわかんねーんだよな。
「どの子?」
「はあ!?なんでお前わかんねーんだよ!あの子だよ!教卓の前にいるあの茶髪ロングヘアー!」
ロングヘアーね…。
その子はすぐに見つかった。
胸ぐらいの長さまであるさらさらのロングヘアー。
身長は…160センチないぐらい。
後ろ姿で顔は見れないけど、軽そうな感じ。
「学級委員になったけど、お前は当たりだ!」
「じゃあお前変わるか?」
「俺はお前をたまーにサポートするから!」
「嘘つきは死刑だ」
「じゃ、学級委員前へ出ろー」
担任のパシリーが俺を呼んでいる。
あ、パシリーて俺がつけたあだな。
仕方なく俺は教卓の前へ出た。
うわ、やべー。
ここからだと教室全体が見えるな。
ふわぁっ
なんだ、このいい匂い。
横を見ると、俺の隣には赤沢さんがいた。
やば。すげー美人。
こんな美人の隣に並んで、俺大丈夫かな。
男とかみんな俺のこと睨んでたりとか……
うん。
誰も俺のことなど見ていなかったようだ。
赤沢さん、男達の視線を集めてくれてありがとう。
「さて……。あみだくじで決まったとはいえ、当選の運命を受け入れ、学級委員を引き受けてくれた神田と赤沢だ。みんな、二人が困っていたら協力してあげるように」
パシリーの言葉に自然に起こる拍手。
ああ、めんどくさいのになった。
それから俺と赤沢さんは軽く挨拶をして、自分の席へ戻った。


