時間がたつのは早く大嫌いのようで大好きな6月がきた。
小梅と言う名前でわかると思うが6月生まれだ。
誕生日は大好きだが、どうもこのジメジメした蒸し暑いのは大嫌いだ。
架夏と過ごす休み時間、窓の外ではカエルの喜びそうな天気が広がっている。
「雨ひどいなー、」
「こんなんだったら、もう濡れて帰りたくなる!」
「風邪ひくよー!」
会話をしているうちにだんだんと雨は酷くなっていく。
放課後、部活が長引いて帰る時間が遅くなった。
帰り道は、友達みんな雨だから、迎えを呼んで、今日は1人。
私の家は和菓子屋だから両親はこの時間も働いている。
強すぎ雨で、ため息がでる。
「てか、本当に蒸し暑い。」
玄関は、人がすくない。
雨はあがる気配をみせずにいる。
「あ、やべぇ!俺の傘ぁぁ!」
前の傘立てで男子2人が騒いでる。
「どうしたの?」
よく見るとクラスの男子、それも小白と季斗だ。
「はっちゃんの傘パクられたぽい。」
「え!マジで?小白?」
「うん。駅までずぶ濡れコースだなー!」
笑顔で言うが季斗にお前入れて帰れと目でうったえている。
「途中まで、一緒に帰ってやろう!」
季斗がそう提案したあと、季斗の自称チャームポイントの一重が睨んでくる。
「おい、うめこ、お前、月卯堂はどこにあったけ?」
「え、月卯堂?」
月卯堂は、駅前の自分ん家の店だ。
「おい、はっちゃん、駅前まで、だったよな?コイツんちの店駅前にあるから今日は、うめこと帰れ。」
そう言って季斗は傘を開くと足が濡れるのもお構いなしに走って行く。
ただ、呆然と見守った後、自分達の置かれた状況にやっと気づく。
この学校には男女2人だけで帰るということ付き合っていると言うことになる。
「えっと……、じゃあ、帰ろっか?」
「うん。そうだね。ありがとう」


2人で帰るのを見られたらなんか、嫌だな……。
そう思う事は、失礼かもしれないけど、そう思ってしまう。
駅から、学校まで、約2キロ。
学校の暗黙のルールを知ってか、無言が続く。
別に、好きな人がいるわけでもなく。
恋を知っているわけでもない、お子ちゃまには、これはこれでひどい拷問である。
「ねえ、小梅。このシーン、オレンジプラネットにもあったよね。」
前借りたい、オレンジプラネットにも今と全く同じ状況があったけ?
確かその後駅のホームで男の子を捕まえて告白だったよな?
でも告白なんか、出来る気持ちを小白には1つもない。
そう、ボーっと考えているうちに、駅前に到着する。
「ちょと待ってて!店の傘借りてくるから……」
「ありがとう……」
すぐに借りてきて渡す。
「それじゃあ、暗いし気をつけてね!」
「うん、バイバイ」
そう言って別れた。