「どうしたの?急にニヤニヤしだして、ちょっと怖いわよ。」
お母さんがニヤニヤしている私を見て、びくっと少し後ずさった。周りから見れば、1人で笑っているのは確かに不気味だから、気持ちはよくわかった。
でも、ニヤニヤは止められない。わかったから。私に足りないものとこれから必要になるものが2つ同時に。
私に足りないもの、それは『私』だった。お姉ちゃんに憧れて、お姉ちゃんみたいになりたくて、必死でお姉ちゃんの背中を追い続けていたから気付かなかった。
勿論、お姉ちゃんに憧れているのは変わらない。だからといって、お姉ちゃんになろうとするのは間違いだ。私は真希であって、真理ではないから。
その為に、これから必要になってくるのが『私』なんだ。お姉ちゃんへの憧れを持ったまま、私自身にしかできないことを探していく。
目標が見つかって、やることができた。なら、後は真っ直ぐ突き進むしかない。私は賢くないから、とにかく行動してみよう。それが間違っていたら、また直せばいいだけだし。
家までの短い距離を、全力で走った。夏の暑さのせいで爽やかな涼しい風は吹いていなかったけど、心は凄く爽やかで綺麗になった気がした。
今の私の決意はホタルビのように小さくて、いつ消えてもおかしくはないものだけれど消えてしまいそうになったら、またこの場所に来ればいい。
きっとホタルが私に光をくれるから。

