隣室の男が、もう一度はいって来ないかと心待ちにしていたが、一向にその様子もない。
メグは、何度も咳払いをしたり、溜息をついてみたりした。
手洗いに行って、部屋を間違えた風を装い、男の部屋の戸を開けてみた。
だが、部屋の真ん中に人が抜け出した形のままの蒲団があるきり、男の姿はなかった。
狭い室内には、息苦しいほど男の体臭が籠っていたが、男はもう宿を出たらしく荷物もない。
クリーニング店にしても、隣室の男にしても、なんと意気地のないつまらない男たちばかりだろう、とメグは思った。
テレビドラマにあるようなことは、そう世間には転がっていないものなのか、と落胆した。


