メグは、すっかり身支度を終えると、 昨夜のうちに詰めておいた古びたスーツケースを玄関に運び、 夫人のタンスの小引出しから自分の印を見つけ出した。 預金通帳は、四十万円になっている。 このときばかりは、メグも少しばかり夫人に感謝した。 四十万円などというまとまったお金は、 今まで手にしたこともない。