その日、メグは脱ぎ捨てられている衣裳はそのままに、 早速鏡台に向かった。 鏡台の上には化粧品店のショーケースの中身に匹敵するほどの化粧品が並べられている。 化粧品を沢山持っている癖に、夫人はメグが化粧することを喜ばない。 外出するときは少しはいいが、うちで働いているときにそんなに厚化粧するものじゃありません、と言う。 化粧は若い娘がするもので、三十すぎて子供もある奥さんが厚化粧するほうこそ年甲斐ない、 とメグはいつも心の中で半撥しているのだった。