遺族たちは、いたいけな赤ん坊の傍に実那が付き添っていることで心がいくらか慰められるだろう。

町はずれの、従業員が一人しかいないような小さな葬儀屋が、
曲がりなりにも成り立っているのは、実那が女主人だからかもしれない。

女に葬儀をまかせることを心もとなく思う者が多いだろうと思い、
男の同業者に対抗するには男の気づかぬ細やかな気配りを心がけているのだった。