実那はそんな思いを振り払うように手早く毛布を棺の中へ敷き、 母親の方へ手を差しのべてうながした。 母親は、揺り籠のようにピンク色のベビー毛布を敷いた棺を見て、 自分でその赤ん坊を納めた。 その上から、今まで赤ん坊を包んでいたショールを掛けた。 ショールはカシミヤでかなり高価そうだったが、死臭が浸みついてしまっているだろう。