電車に乗って着いた場所。 そこは海。 夏なのに、人がほとんどいない。 ここは田舎の方。風が気持ちよく近くのお店から風鈴の音が聞こえる。 「ここ、俺の地元。けど両親はいないんだ。俺をおいてパリに住んでんだ。今じゃ連絡もなんもねーし捨てられたも同然。」 『黒田くん、今ひとり暮らししてるの? 』 黒田くんからそんな想像もつかない。 なんで…放っておくの? 「そうだよ、父方の親と暮らしてたんだ。」