「瑳拿、いい加減起きなさいよ」
そんな声が聞こえる。
「お母さん・・・?」
「そうよ?」
あれ?
「ここは、家?」
「そうよ?」
何かがおかしい。
「貴方はだぁれ?」
「何を言っているの?お母さんよ」
やっぱりおかしい。
ガバッ
勢いをつけてベッドから起き上がる。
電子時計に目を向ければ
<13月32日25:61>
ひっ!
13月・・・?
ありえない。
32日って、25:61って何。
この世に存在しないわ。
カタカタと震える肩を抑えてお母さんを見る。
「フフフ・・・どうしたの?」
嫌っ
ありえないっ
お母さんの・・・顔がない?
「嫌っ来ないでっ」
涙目で訴えるも
「瑳拿?私の瑳拿、どうかしたの?」
私の肩に手を置く。
ピクッ
私の動きが止まり、思考が回転する。
瑳拿って、誰?
私の名前は、瑳拿じゃない・・・!