「俺、職員室に行かないといけないからまたあとで」 そう言うと手をひらひらさせて、あたし達に背を向けた。 「修羅場かな?」 なんて有菜が呟くけど、あたしの耳には入ってこない。 翔の力強い腕でホールドされていて、とにかく早くここから逃げたい。 すごく注目されてるし。 「こっち来い」 そう言うと、翔はあたしの手を握って集まっていた生徒の間をぬって抜け出した。 その時見えた翔の顔は、少し怒っているようなそんな表情だった。