「ちょっと離れてくんないかな?」
「やだ」
やだってこいつは……。
呆れたようにため息を零す。
今はこのわがままなやつ、藤井翔(ふじいしょう)の部屋にいるんだけど、あたしにベッタリ引っ付いて正直なところ暑苦しい。
だから離れるように言っても、全く聞き入ってくれない。
「離して、暑い」
「離れるな、命令」
ここで命令してくるなんて。
あたしはこれ以上何も言えなくて、翔にされるがまま。
強く抱きしめられて、あたしの髪をくるくるとして遊んでいる。
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