「ねぇ、しず起きてる?」





トントンと数回ノック音が響いて聞き慣れた声がする。


この家で僕のことを「しず」と呼ぶのはただ一人だけ。


めぐるだけだ。


めぐるは小さい頃からこの呼び方を変えようとしない。


もう高校生なんだしそろそろこの呼び方も恥ずかしいんだけど、何故か頑なにこう呼び続けるもんだから僕も注意するのをやめた。



そんな僕の名前は佐伯志築。
歳はめぐると同じ17歳で明峰学園で書記をしている。
一応、頭は良い方…かな……。






「ちょっと!いつまで寝てるつもり?」


呼びかけても返事をしなかった僕に腹をたてたのか。
さっきよりも大きな声がドア越しに聞こえてくる。