「貴方は18歳まで生きられないでしょう。」


そう、医者に告げられたのは高校2年生の春だった。


つまり、私、一之瀬歌羽は後1年間しか生きられないということ。




「大丈夫よ。落ち込まないで。」


「何か欲しい物があるなら何でも言え。何でも買ってやるし、どこにでも連れていってやる。」




未だに状況が理解できず、唖然としている私をよそに、


病院からの帰りの車内では、母と父が大粒の涙を流しながら、私に話しかけていた。


私は一切、落ち込んだり、涙を流したりしなかった。


突然訪れた運命を、受け入れることができなかったから。


いや、受け入れたくなかったから。


ぼーっとしているうちに、車は自宅の駐車場に止まっていた。


意識がはっきりしないまま、両親の話には一切耳を傾けず、


そのまま自分の部屋に向かった。