春。
満開の桜に見てもらいながら、校門をくぐったあの日。
まだ純粋だった私達は、楽しい学校生活を送ることしか頭になかった。はずだった。
「…ねぇ、まって。まってよ」
私、大城優希。
「どうした優希?」
「話が違うよ!なんでもうみんな彼氏できてるの!?」
私だけ取り残された…。
「まぁまぁ、優希も可愛いんだからすぐできるって!あ、優希ってさ、かっこいいって思う人とかいないの?」
私?うーん。
「あ、一人だけ。一人だけならいるよ!」
「え!誰々ー??」
「一ノ瀬遼くん!」
「…。優希。そんな夢見ちゃダメだって」
夢ってゆうか、かっこいいって思ってる人だもん。
私わね、好きってゆうか、一ノ瀬くんがかっこいいって思ってるだけ。
まだあんま話したことないし、どんな人かはわかんないけど、でも、遠くから見ても近くから見てもかっこいいって思う。
そんな存在の人。