この列車は恋人駅行きです。




かと思えば深いため息をつきながらかったるそうに椅子に座り、自分の印刷した記事も私のと同じように放り投げた。



私はその記事を手にとって目を通した。



「……イケメン男子バレー特集?
わ、この黒鉄の王様の子とかイケメン!私けっこうタイプかも!
小彩が担当してるのも楽しそうね」


「これのどこが楽しそうなのよ。
この子達、高校生だからね?年下過ぎて無理」



あんたは取材対象をどんな目で見てんのよ。



と言いたくなったけどただでさえ不機嫌な小彩を怒らせたくなくて心の中に止めておく。



というかこの子達高校生なの?
普通に社会人で私と小彩より1、2個下くらいだと思ってた。



最近の高校生ってみんなこんな感じなの?
ふと私が愛してやまない従弟を思い出す。



あの子も高校生になったらこんな風に一気に大人になってしまうのかな。



「ちょっと夏純聞いてる?」


「へ?なに?」


「だ・か・ら!この子達の取材がすごく大変なんだって話!
三輪田くんは無口なのかあたしの質問に一言しか答えなくて盛り上げるのにすんごく苦労したんだからね!?

一方の黒岡くんってのは彼女の自慢ばっかしてバレーの話にいきつかないしでもう疲れた!飲みいくよ!」



いや、どっから飲みにいく話になったのよ。



と思いながらもどんどんエスカレートしていく小彩の愚痴を聞いていたら、途中からまだ彼氏と喧嘩中の華ちゃんもやって来てそれはそれは別の意味で盛り上がった。