「……ごめんなさい」
「…どうして南条さんが謝るんですか?」
やっとの思いで出てきた言葉は謝罪だった。
いきなり謝られて遠野さんは戸惑うように首を傾げた。
「私、遠野さんのことスイーツ王子なんて巷でもてはやされてるチャラ男だとしか思ってなかったです。
遠野さんのスイーツに対する愛を感じて、自分が思っていたことが申し訳なくなってきて……つい…」
あれ、今私が言ってることってすごく失礼なことじゃない?
本人の前で本人のことをチャラ男とか言っちゃったし。
ふと零れた言葉を思い返すとすごいことを言ってしまったと後悔し始めた。
さすがの遠野さんもここまで言われたら怒るよね。
恐る恐る俯いていた顔を上げると、そこには肩を震わせて笑う遠野さんが。
「…え、と、遠野さん?」
「ふ、あ、ごめんね……ふふ、ここまではっきり言われるとは思わなくて…つい……ふっ…」
「す、すみません……っ!大変失礼なことを…!」
「大丈夫、怒ってないから。むしろ……」
テーブルについた手に違う温もりが重なる。
その温もりの先を目で辿っていくと、ニッコリと笑う遠野さんへとたどり着いた。
「……ますます気に入っちゃったよ、夏純ちゃんのこと」
「…………へ!?」
突拍子なことを言われて反応が数秒遅くなってしまった。



