この列車は恋人駅行きです。




別室へ案内されながら、裕臣先輩の背中を睨む。



こうなったらあの人の話で仕返しをしてやる。



「…裕臣先輩!再会したのも何かの縁ですし、今度飲みに行きましょうよ!」


「…お前たくさん飲んで泥酔しそうだな」


「なっ!ちゃんとセーブしながらいつも飲んでますよ!
…なんなら小彩も誘いますけど?」



私が小彩といった瞬間、先輩は何もないところで躓いた。



前のめりになった体を近くにあったテーブルに手をついて支えている。



完全に動揺したな。



前に回り込んで先輩の顔を覗き込むと若干頬が赤くなっている気がする。



その顔を見た瞬間、仕返しが成功したとニヤリと笑う。



「先輩に言ってなかったですけど、小彩と同じ会社で働いてるんですよ。
なので小彩にはいつでも声かけられますので、明日声かけときますね!」


「はぁ!?余計なこと言うな!
飲みに行くのは俺と南条の二人でいいだろ……!」



焦ってる先輩を見るのはかなりレアだったから、更に困らせてあげようかという私の中のいたずら心が燃え始めた時。