「…はぁぁ」


「挨拶する前にものすごい重いため息つくのやめてくれる?
こっちのテンション持っていかれそうだから」



会社の自分のデスクについて深いため息をつくとスマホをいじっていた小彩が嫌そうな表情を向けてきた。



そんなこと言われてもため息つきたくなるんだよ。



遠野さんが隣に座って駅に着くまでエンドレストークをぶっかけてくるんだから。



しかも私のことばっかり聞いてくるし。



「…朝からテンション持っていかれたのはこっちなんだよ、小彩さん」


「つまり話を聞けってことね」



よくこの一言で分かったね。
さすがだてに高校から一緒にいないね。



「あのね、あの王子が……」


「おはようございます!夏純センパイ!小彩センパイ!」


「お、おはよう華ちゃん……」



荷物の整理しながら小彩に朝のことを話そうとしたら、向かいのデスクにバッグを叩きつけて怒った様子の華ちゃんがやってきた。



バッグを勢いよくデスクに叩きつけた音は会社中に響いて、社内が一瞬静かになった。



かなりご立腹の華ちゃんを見ると、私のことなんてどうでもよくなってきた。



「……分かった。二人の話聞きますよ…はぁ…」



小彩は私がついたような深いため息をついた。