この列車は恋人駅行きです。




社内食堂で私は朝に起こった出来事を小彩と華ちゃんに話した。



「そこに王子がどうぞって私を先頭へ誘導してくれたの!もうとにかく優しかった!」


「センパイそれ絶対脈アリですよ!いいな~!
華もそんな胸キュンした~い!」



私の話に華ちゃんのテンションが変わった。



小彩は頬杖をついて冷めた目つきをしてるけど、そこは気にしない。



「それで!その王子の優しさと『どうぞ』って言う美声がもうヤバすぎて!
目の保養だけじゃなくて、耳の保養にもなっちゃってさー!」


「そのあんたのテンションがヤバいわ。酔ってんの?」



ちなみに私が飲んでるのは烏龍茶。
ウーロンハイではない。



ダンッ



私の向かいに座る華ちゃんが身を乗り出して私に顔を近付けた。



「センパイ!これを機に攻めて王子ゲットしちゃいましょうよ!」



え?ゲット?



それって私が名前も知らない王子と仲良くなって、いつか付き合うってこと?